カナダの外国人住宅購入禁止法は2027年1月1日で終了します
カナダの外国人住宅購入禁止法は2027年1月1日で終了します
確定していることと、まだ決まっていないこと
カナダ人以外による住宅購入を制限してきた連邦法が、2027年1月1日に期限を迎えます。期日が近づくにつれ、購入を見合わせてきた方からのご相談が増えています。
最初に整理しておきたい点があります。禁止法が終わることと、外国人購入者への追加課税がなくなることは別の話です。制度をつくった政府の階層が異なり、連動していません。
禁止法はいつ終わるのですか
非カナダ人による住宅用不動産の取得を禁止する連邦法は2023年1月1日に施行され、当初は2年間の時限措置でした。連邦政府は2024年2月4日の発表でこれをさらに2年延長しました。現在有効な期限は2027年1月1日です。
いま禁止されているのは具体的に何ですか
対象は住宅用不動産のうち、3戸以下の建物とその一部です。一戸建て、二世帯住宅、コンドミニアムが含まれます。4戸以上の建物は対象外です。
地域の基準もあります。禁止が適用されるのは国勢調査上の大都市圏および人口集中地区の内側にある物件です。その外側の地域、更地、地方の別荘用不動産は対象になりません。
永住権保持者や市民権保持者にも適用されますか
適用されません。カナダ市民と永住権保持者は対象から外れています。実務のご相談で最も多く確認される点です。
一時滞在の方は条件を満たせば購入できます。就労許可をお持ちの方は有効期間が183日以上残っており、この禁止法の下で住宅を購入した履歴がないことが条件です。留学生の場合は認可された課程に在籍していること、直近5年間それぞれで納税申告を行っていること、各年に244日以上カナダに滞在していること、購入履歴がないこと、そして購入価格が50万ドルを超えないことが条件になります。難民および危機を逃れて来られた方も対象外です。要件を満たす配偶者または事実婚のパートナーとの共同購入も認められています。
参考として、カナダ統計局が2026年6月16日に公表した調査では、オンタリオ州における入国5年目の移民の持ち家率は2018年の35.7%から2021年には40.2%へ上昇し、同じ期間にカナダ生まれの方の持ち家率は50.7%から47.8%へ低下しました。永住権を得たうえで住宅を取得する流れは以前から続いています。
違反した場合はどうなりますか
最大1万ドルの罰金が科される可能性があり、裁判所が当該物件の売却を命じることがあります。売却代金は当初の購入価格を上限とするため、値上がり益は残りません。法人の場合は役員や取締役にも責任が及ぶことがあります。
禁止法が終われば課税もなくなりますか
なくなりません。禁止法は連邦の制度であり、外国人購入者への追加課税は州と市の制度です。
オンタリオ州の非居住者投機税は2022年10月25日から25%で、州内全域の住宅用不動産に適用されます。トロント市は2025年1月1日から、外国人による一定の住宅取得に10%の市税を追加しています。トロント市域内で外国人が住宅を購入する場合、二つの税を合わせて35%の追加負担となります。100万ドルの住宅であれば35万ドルであり、土地譲渡税とは別にクロージング時に発生します。
これらの税率は連邦の禁止法が終了しても変わりません。購入できるようになることと、費用が下がることは別の問題です。
この後の制度はどうなる見込みですか
この項目はまだ確定していません。
2026年7月の業界報道によれば、連邦政府は再度の延長ではなく新しい枠組みを検討しており、新築住宅と更地の購入は認めつつ既存住宅への制限は維持するオーストラリア型の方式が候補として挙げられています。ただし法案や規則として公表されたものはなく、確定した内容ではありません。
現時点で確定しているのは2027年1月1日という期限だけです。報道のみを根拠に購入時期を決めることには相応のリスクがあります。
いま準備しておくべきことは何ですか
三つの点を切り離さずにご確認ください。
一つ目は身分と時期です。永住権の取得を予定されている場合、購入の時期によって負担が大きく変わります。オンタリオ州には、登記日から4年以内に永住権を取得した場合に非居住者投機税の還付を申請できる制度があります。要件と期限が厳格なため、購入後ではなく購入前の確認が要になります。
二つ目は名義と保有の形です。日本やご家族の居住国にいる親族の名義、カナダ在住のお子様との共同名義、法人を用いた取得は、禁止法と二つの追加課税、そして信託の申告義務が同時に関わる領域です。一方だけを見て決めると、別のところで費用が生じます。
三つ目はクロージング後です。トロント市では住宅用不動産について毎年の居住申告が必要で、申告のない物件は空き家として扱われることがあります。売買では売主の申告漏れがクロージング時に買主の負担へ移ることもあります。
まとめ
連邦の禁止法は2027年1月1日で終了し、その後の制度は決まっていません。終了後もオンタリオ州の25%とトロント市の10%は残ります。身分と時期、名義と保有の形、クロージング後の申告義務は、ひとつづきの問題としてご確認いただくのが確実です。
Jenna Lee Law では、オンタリオ州の弁護士であり公認会計士でもある弁護士が、取引と税務を同じ事務所で併せて検討します。ご相談をご希望の方はご連絡ください。
カナダ財務省 発表資料 外国人によるカナダ住宅所有禁止の2年延長 2024年2月4日 https://www.canada.ca/en/department-finance/news/2024/02/government-announces-two-year-extension-to-ban-on-foreign-ownership-of-canadian-housing.html
カナダ住宅金融公社 非カナダ人による住宅用不動産取得禁止法 よくある質問 https://www.cmhc-schl.gc.ca/professionals/housing-markets-data-and-research/housing-research/consultations/prohibition-purchase-residential-property-non-canadians-act/faq
オンタリオ州 非居住者投機税 https://www.ontario.ca/document/non-resident-speculation-tax
トロント市 市非居住者投機税 https://www.toronto.ca/home/311-toronto-at-your-service/find-service-information/article/?kb=kA06g000001Uu6rCAC
カナダ統計局 最近の移民の持ち家取得の推移 2026年6月16日 https://www150.statcan.gc.ca/n1/daily-quotidien/260616/dq260616c-eng.htm