カナダ年金制度(CPP)2026年版
受給額、受給開始の時期、家族が受け取れる給付
本記事の情報は2026年10月25日時点のものです。
カナダ年金制度(Canada Pension Plan、CPP)は、働いていた間に納めた保険料をもとに支給される年金です。カナダでの居住年数をもとに支給される老齢保障制度(OAS)とは別の制度で、多くの高齢者は両方を受け取っています。CPPには退職年金のほか、障害年金、遺族年金、死亡手当、子どもへの給付があります。
退職年金は毎月いくら受け取れますか
2026年1月に65歳で受給を始めた場合、最高月額は1,507.65ドルです。最高額は長期間にわたって上限まで保険料を納めた場合のもので、2026年7月に65歳で新たに受給を始めた人の平均月額は858.34ドルです。受給額は納付した期間と収入によって決まり、毎年1月に物価に合わせて調整されます。2026年1月の調整率は2.0%でした。
CPPは2019年から段階的に拡充されています。同年以降の収入については、年金で置き換えられる割合が25%から3分の1に引き上げられ、拡充分の全額は約40年間納付したあとに適用されます。
いつから受け取るのがよいですか
一度でも有効に保険料を納めていれば、退職年金は60歳から70歳までの間に受給を始められます。65歳より早く始めると1か月ごとに0.6%減り、60歳で始めると36%の減額になります。遅らせると1か月ごとに0.7%増え、70歳で始めると42%の増額になります。70歳より後に遅らせても、それ以上は増えません。年金は自分で申請して受け取るのが原則ですが、70歳を過ぎても申請していない人のうち、老齢保障年金を受け取っている人や前年の所得税申告をした人については、政府が申請なしに支給を始めることがあります。
申請は受給を始めたい日の12か月前からできます。65歳を過ぎてから申請した場合は最大11か月分さかのぼって受け取れますが、65歳の誕生日の翌月より前にはさかのぼれません。開始時期は、健康状態、ほかの収入、老齢保障年金の回収(クローバック)、税金を併せて考えて決めるのがよいでしょう。
年金を受け取りながら働くとどうなりますか
65歳未満の人が年金を受け取りながら働く場合は、保険料を引き続き納めなければなりません。65歳から70歳までの間は納付をやめることを選べます。会社員はCPT30の書式を雇用主とカナダ歳入庁(CRA)に提出し、自営業者は所得税申告書のSchedule 8で選択します。納め続けた保険料は、翌年から退職後給付(Post-Retirement Benefit)として年金に加算されます。
2026年の保険料はいくらですか
2026年の基礎控除額は3,500ドル、年金の対象となる収入の上限は74,600ドルです。従業員と雇用主は、この範囲の収入に対してそれぞれ5.95%を納め、1人あたりの上限は4,230.45ドルです。収入が74,600ドルを超える部分については、85,000ドルまで、それぞれ4%の第2追加保険料を納め、上限は416ドルです。自営業者は従業員分と雇用主分の両方を負担するため、基本保険料11.90%と第2追加保険料8%を納めます。
働けなくなった場合、障害年金を受け取れますか
18歳から65歳までの人が、長期にわたり回復が見込めない、または命にかかわる障害のために、どのような仕事も定期的にできなくなった場合、障害で仕事をやめる前の6年のうち4年以上保険料を納めていれば、障害年金を申請できます。合計25年以上納めている場合は、その6年のうち3年で足ります。2026年の最高月額は1,741.20ドルで、65歳になると退職年金に自動的に切り替わります。
加入者が亡くなったとき、家族は何を受け取れますか
亡くなった加入者が最低納付要件(納付対象期間の3分の1以上かつ3年以上、または10年)を満たしていれば、配偶者または事実婚のパートナーに遺族年金が支給されます。2026年の最高月額は、65歳未満が803.54ドル、65歳以上が904.59ドルです。2019年1月分からは、遺族の年齢、扶養する子どもの有無、障害の有無による要件と、45歳未満の減額がなくなりました。遺族が自分のCPPの年金も受け取る場合は、合計額に上限があります。別居中の法律上の配偶者は、亡くなった人に事実婚のパートナーがいない場合に限って対象となり、2025年1月以降にその加入者との年金クレジットの分割が申請され承認されている場合は対象外です。ただし、亡くなる直前に12か月以上再び同居していた場合は例外です。
死亡手当は、同じ最低納付要件を満たした加入者について一度だけ支給される2,500ドルで、物価調整のない固定額です。2025年1月1日以降に亡くなった加入者が、生前にCPPやケベック年金制度(QPP)の退職年金や障害年金を受け取ったことがなく、遺族年金を受け取れる配偶者もいない場合は、2,500ドルが加算されて5,000ドルが遺産(estate)に支払われます。遺産がない場合や、遺言執行者が死亡から60日以内に申請しない場合は、葬儀費用を支払った、または支払う責任のある個人や機関、配偶者、近親者の順に支払われることがあります。
加入者が亡くなった場合や障害年金を受け取っている場合、その子どもに子どもへの給付(children’s benefit、児童手当)が支給されます。18歳未満、または18歳から25歳のフルタイムの学生は、2026年は月307.81ドルです。2025年1月からは、同じ年齢のパートタイムの学生もその半額の月153.91ドルを受け取れます。
別居や離婚のとき、CPPはどう分けますか
同居していた間に夫婦が納めたCPPの納付記録は、離婚や別居のあとに均等に分けることができ、これを年金クレジットの分割(credit splitting)といいます。12か月以上続けて同居していたことが必要です。1987年1月1日以降に離婚した場合は、申請の期限はありません。法律上の夫婦が離婚せずに12か月以上別居した場合も期限なく申請できますが、相手が亡くなった場合は死亡から36か月以内に申請しなければなりません。事実婚の場合は、12か月以上別居したうえで、別居を始めた日から48か月以内に申請する必要があります。一般に、配偶者間の合意で分割を止めることはできず、例外となる州はケベック、サスカチュワン、ブリティッシュコロンビア、アルバータです。オンタリオ州は含まれません。
同居している夫婦のうち一方以上が退職年金を受け取っているか申請している場合は、二人の退職年金を分け合う年金の分け合い(pension sharing)を申請でき、税金が軽くなることがあります。年金の分け合いは、離婚、死亡、二人からの取り消しの申請、または別居を始めてから12か月目に終わります。
日本の年金に加入していた期間は通算されますか
日本とカナダの社会保障協定は2008年3月1日に発効し、CPPと老齢保障制度(OAS)が対象です(ケベック年金制度は対象外です)。カナダで納めた期間だけでは受給要件を満たせない場合、日本の年金に3か月以上加入していた年をCPPの1年として考慮します。CPPの退職年金には最低加入期間の要件がないため、通算が意味を持つのは主に遺族年金や障害年金です。各国はそれぞれの国で認められた期間に応じて年金を支払います。日本に住みながらCPPを申請する場合は協定用の書式(ISP5054-JPNなど)を使い、日本の年金事務所に提出することもできます。反対に、カナダに住みながら日本の年金を申請する場合は、最寄りのService Canada Centreに提出します。
税金はどうなりますか
CPPの年金は課税所得です。カナダの居住者は毎年T4A(P)を受け取り、所得税の申告に含めます。税金は自動的には源泉徴収されないため、申告時にまとめて納めずに済むよう、My Service Canada AccountやISP3520CPPの書式で源泉徴収を申し込むことができます。日本に住みながら受け取る場合は、カナダが非居住者税として25%を源泉徴収し、NR4が発行されます。
Jenna Lee Lawへのご相談
Jenna Lee Lawでは、CPPと老齢保障年金の受給開始時期、別居や離婚に伴う年金クレジットの分割、ご家族が亡くなった後の遺族年金と死亡手当の申請、遺産の整理について、ご相談を承っています。主任弁護士は公認会計士(CPA)でもあり、受給開始時期による税金への影響や老齢保障年金の回収、日本とカナダの両方にある収入の申告についても併せて確認します。
参考
カナダ政府、CPP retirement pension、How much you could receive:https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp/amount.html
カナダ政府、CPP retirement pension、When to start your retirement pension:https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp/when-start.html
カナダ歳入庁(CRA)、CPP contribution rates, maximums and exemptions:https://www.canada.ca/en/revenue-agency/services/tax/businesses/topics/payroll/payroll-deductions-contributions/canada-pension-plan-cpp/cpp-contribution-rates-maximums-exemptions.html
カナダ政府、CPP survivor’s pension:https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp/cpp-survivor-pension.html
カナダ政府、CPP death benefit:https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp/cpp-death-benefit.html
カナダ政府、Divorced or separated: Splitting Canada Pension Plan credits:https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp/cpp-split-credits.html
カナダ政府、Japan、Pensions and benefits:https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/international/agreements/japan.html
日本年金機構、カナダとの社会保障協定に関する留意事項:https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/kunibetsu/notice/canada.html
カナダ政府、Taxes、Foreign and Canadian pensions and benefits:https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/international/taxes.html
本記事は2026年10月25日時点の一般的な情報であり、法律上または税務上の助言ではありません。受給額と保険料は毎年調整され、個々の納付記録によって異なります。申請や判断の前に、Jenna Lee Lawにご状況をご確認ください。本記事をお読みいただいたことにより、弁護士と依頼者の関係が成立するものではありません。